交通規制図の書き方|道路使用許可の申請で必要な図面と注意すること

専門行政書士が解説

交通規制図の書き方|道路使用許可の申請で必要な図面と注意すること

交通規制図に何を書けばよいかが分かります

「道路使用許可の申請書は書けたが、添付する図面の描き方が分からない」
「片側交互通行にするとき、車道はどれくらい残せばよいのか」
「警察署で図面を直すように言われた」

道路で工事や作業をするときの道路使用許可は、申請書だけでなく、現場の様子と安全対策を示した図面を付けて申請します。
この図面は「交通規制図」「保安対策図」「現場見取図」などと呼ばれます。

結論からお伝えすると、交通規制図で警察署が確認するのは、道路の状況、規制する範囲、安全対策の3点です。
片側交互通行の場合、残す車道の幅は3メートル以上が、国の建設工事の要綱(建設工事公衆災害防止対策要綱)の標準です。

今回は、交通規制図を添付する根拠、図に書くこと、残す幅の目安、作成するときの注意点(「施工方法・保安措置」欄の書き方や、全面通行止めにする場合の同意書を含む)を、見本の図を使いながら解説していきます。

1.交通規制図とは?申請書に添付する図面のことです

通行止めの看板とカラーコーン

①法令では「付近の見取図」の添付が求められています

ポイント:道路交通法施行規則第10条第3項に定めがあります

道路使用許可の申請書は、道路交通法施行規則で定められた様式(別記様式第六)で提出します。
あわせて、申請書を補足する書類を付けることが、同じ規則の第10条第3項で求められています。

(道路使用許可証の様式等)第十条第三項
前項の申請書には、道路使用の場所又は区間の付近の見取図その他の第一項各号の事項を補足するために公安委員会が必要と認めて定めた書類を添付しなければならない。

道路交通法施行規則(e-GOV法令検索より引用)

交通規制図は、この条文の「付近の見取図その他…公安委員会が必要と認めて定めた書類」にあたる図面です。
そのほかにどんな書類を付けるかは、各都道府県の公安委員会が定めることになっています。

②福岡県警察の記載例では「現場見取図(交通保安対策図等)」です

ポイント:道路の幅員・歩行者の通り道・安全対策が分かる図面が求められます

福岡県警察がホームページで公開している申請書の記載例(クレーン作業の場合)では、添付書類の欄に「現場見取図(交通保安対策図等)等」と書かれています。
そのうえで、添付する図面について次のように注記されています。

福岡県警察の道路使用許可申請書記載例の添付書類欄
※出典:道路使用許可申請書 記載例 1号許可(工事・作業関係)(福岡県警察)。赤枠は当事務所で追加

つまり、道路の幅員、歩行者通行路の幅員、安全対策の3つが読み取れる図面であれば、呼び方が交通規制図でも保安対策図でも中身は同じです。
このあと解説する「道路の状況・規制する範囲・安全対策」の3つを描けば、これらが自然に読み取れる図面になります。

※出典:道路使用許可申請手続き(福岡県警察)

2.交通規制図に書くこと

地図と虫眼鏡で現場を確認する様子

まずは、交通規制図の見本をご覧ください。
片側交互通行にして、トラックで荷下ろしをする場合を想定した図です。

この図に描かれている内容は、大きく分けると「道路の状況」「規制する範囲」「安全対策」の3つです。
ここからは、見本の図のどこに何が描かれているかを、順番に見ていきます。

①道路の状況

ポイント:車道と歩道の幅は分けて書きます

まずは、作業する場所の道路そのものを描きます。
見本の図では、上の段に道路の名前と幅員を書き、車線の向きを白い矢印で、西側の横断歩道や作業場所の建物も描いています。

車道と歩道の幅は、合計ではなく分けて書いてください。
見本でも「車道幅員6.0m・歩道2.0m×両側」と分けて書いています。
このあと解説する「残す車道の幅」も「歩行者の通り道の幅」も、ここから計算することになるからです。

②規制する範囲

ポイント:規制する長さと幅、残る車道の幅を書き込みます

次に、作業のためにふさぐ範囲を描きます。
見本の図の赤い斜線の部分が規制する範囲で、トラックを停める位置、規制する長さ(規制延長)、セーフティコーンを並べる位置を示しています。

車線をふさぐ場合は、見本のように規制する範囲の両端を斜めにすり付ける形(テーパー)にして、後ろから来た車がなめらかに避けられるようにするのが一般的です。

あわせて、規制した区間で残る車道の幅を平面図に書き込み、横断図でも残す車道と歩行者の通り道の幅を数字で示しておくと、窓口での説明がぐっと楽になります。
見本では、車道6.0mのうち規制する幅が2.5m、残る車道が3.5mです。

③安全対策

ポイント:誘導員・看板・歩行者の通り道を描きます

最後に、規制している間に車と歩行者をどう通すかを描きます。
見本の図では、黄色の丸が交通誘導員、黄色の四角が看板、青い矢印が規制中の車の通り方、緑の点線が歩行者の通り道です。

交通誘導員は、自分が止める車線の側に立つように描きます。
片側交互通行なら、両端の誘導員が、それぞれ自分の側から規制区間に入ってくる車を止めるので、見本のように2人は道路の左右に分かれて立つのが基本です。

交通規制図に書くことのチェックリスト
  • 道路の状況:道路名、車道と歩道の幅員、車線数と通行の向き、交差点・横断歩道・出入口
  • 規制する範囲:作業車両の位置、規制延長と幅、残る車道の幅、セーフティコーンの位置
  • 安全対策:交通誘導員の位置と人数、看板の位置と文言、規制中の車の通り方、歩行者の通り道
  • そのほか:方位、寸法、凡例、施工方法・保安措置、作業内容と作業時間

3.片側交互通行で残す車道の幅は3メートル以上が目安です

道路で舗装作業をする作業員

①車道は1車線なら3メートル以上、2車線なら5.5メートル以上が標準です

ポイント:国土交通省の要綱が標準を定めています

規制したあとにどれだけの幅を残せばよいかは、道路交通法には書かれていません。
目安になるのが、国土交通省が告示で定めている「建設工事公衆災害防止対策要綱」です。

この要綱は、建設工事の発注者と施工者が守るべき公衆災害防止の基準を定めたもので、道路使用許可の許可基準そのものではありません。
ただ、警察署や道路管理者との事前の相談でも、残す幅の目安としてよく使われています。

第25(一般交通を制限する場合の措置)第1項
発注者及び施工者は、やむを得ず通行を制限する必要のある場合においては、道路管理者及び所轄警察署長の指示に従うものとし、特に指示のない場合は、次の各号に掲げるところを標準とする。
一 制限した後の道路の車線が1車線となる場合にあっては、その車道幅員は3メートル以上とし、2車線となる場合にあっては、その車道幅員は5.5メートル以上とする。
二 制限した後の道路の車線が1車線となる場合で、それを往復の交互交通の用に供する場合においては、その制限区間はできる限り短くし、その前後で交通が渋滞することのないよう原則、交通誘導警備員を配置しなければならない。

建設工事公衆災害防止対策要綱(土木工事編)(令和元年9月2日 国土交通省告示第496号より引用)

片側交互通行は、規制したあとの道路が1車線になる場合にあたるので、残す車道は3メートル以上が標準になります。

ただし、条文の冒頭にあるとおり、これは道路管理者や警察署から特に指示がない場合の標準です。
大型車の通行が多い道路などでは、事前の相談で別の幅を求められることもあるので、その場合は指示に従ってください。

②歩行者の通り道は原則0.9メートル以上です

ポイント:0.75メートルで足りるのは、車椅子などの通行が想定されない場合だけです

歩道をふさぐ場合や、歩道のない道路で路肩を使う場合は、歩行者の通り道も確保します。
同じ要綱(土木工事編)の第27で、幅が定められています。
なお、建物の工事に適用される建築工事等編にも、同じ内容の規定(第32・第33)があります。

第27(歩行者用通路の確保)第1項
発注者及び施工者は、やむを得ず通行を制限する必要がある場合、歩行者が安全に通行できるよう車道とは別に、幅0.90メートル以上(高齢者や車椅子使用者等の通行が想定されない場合は幅0.75メートル以上)、有効高さは2.1メートル以上の歩行者用通路を確保しなければならない。特に歩行者の多い箇所においては幅1.5メートル以上、有効高さは、2.1メートル以上の歩行者用通路を確保し、交通誘導警備員を配置する等の措置を講じ、適切に歩行者を誘導しなければならない。

建設工事公衆災害防止対策要綱(土木工事編)(令和元年9月2日 国土交通省告示第496号より引用)

以前の要綱では0.75メートル以上とされていましたが、令和元年の改正で、原則は0.9メートル以上に広がりました。
0.75メートルで足りるのは、高齢者や車椅子の方の通行が想定されない場合に限られます。
人通りの多い場所では1.5メートル以上が求められている点にも注意してください。

③要綱では、片側交互通行には交通誘導警備員を置くのが原則です

ポイント:規制する区間はできる限り短くします

要綱の第25第1項第2号では、片側交互通行にする場合、規制する区間をできる限り短くし、原則として交通誘導警備員を配置することとされています。
交互に車を通すので、両端で車を止める人がいないと、対向する車同士が規制区間の中で鉢合わせしてしまうからです。

規制区間が長くなるほど待ち時間が延びて渋滞の原因になるので、規制延長は、作業に必要な長さに余裕を少し足した程度にとどめるのが基本です。

4.交通規制図を作成するときの注意点

警察署の外観

①申請書の「方法又は形態」と図の数字をそろえます

ポイント:申請書と図面で幅や車両が違うと、窓口で訂正を求められます

申請書の「方法又は形態」の欄には、規制の方法や使用する面積などを書きます。
ここに書いた規制の形(片側交互通行なのか、通行止めなのか)、車両、幅と、交通規制図に描いた内容が一致しているかを、提出前に必ず見比べてください。

手書きの図面や以前の図面を流用すると、寸法が実際と違っていることも少なくありません。
現場で測った数字を申請書に書き、図面もその数字に合わせて描くようにすると食い違いが起きません。

②規制する範囲は余裕を持って描きます

ポイント:許可は、申請した場所と方法について出されます

許可が出るのは、申請書と図面で示した範囲だけで、必要に応じて条件も付されます(道路交通法第77条第3項)。
当日になって「作業帯が足りずにはみ出してしまった」ということにならないよう、規制する範囲は、作業に必要な広さより少し大きめに取っておくのがおすすめです。

ただし、範囲を広げすぎると残す車道や歩行者の通り道が狭くなります。
3メートル・0.9メートルの目安を割り込まない範囲で余裕を持たせるのがポイントです。

③「施工方法・保安措置」欄は定型の文言でかまいません

ポイント:寸法や人数は、文章ではなく図と凡例で示します

交通規制図には、図とは別に「施工方法・保安措置」の欄を設けて、安全対策の方針を文章で書くことがよくあります。
ここには、規制中にどう安全を確保するかの基本方針を書けば足ります。

当事務所では、片側交互通行の規制図に、次のような文言を入れています。

施工方法・保安措置の記入例
  • 通行に支障をきたす場合は、一時的に規制を開放し、通行を確保いたします。
  • 交差点や店舗出入口等において、通行に支障をきたす場合は、必要に応じ、交通誘導員を増員いたします。
  • 横断歩道部など歩行者、自転車は、交通誘導員にて安全に誘導いたします。
  • 道路状況により、規制車の配置が困難な場合は、使用しないことがあります。
  • 作業当日の交通量などの現場状況により、臨機に対応いたします。

規制する幅、車両の大きさ、誘導員の人数といった現場ごとの数字は、この欄には書かず、図の中の寸法線と凡例で示します。

同じ数字を保安措置の欄と図の両方に書くと、図だけ直して欄を直し忘れる、といった食い違いが起こりやすくなります。
図を見れば分かることは図に任せて、文章の欄はすっきりさせておくほうが、窓口でのやり取りもスムーズです。

④全面通行止めにする場合は、自治会長(町内会長)の同意書が必要です

ポイント:迂回路を示した図面も用意します

道幅が狭く、片側交互通行では作業できない場合は、道路を全面通行止めにして申請することになります。
この場合は、交通規制図に通行止めの範囲を描くだけでなく、車をどこへ迂回させるかを示した迂回路の図面
も必要になります。

さらに、全面通行止めにすると周辺の住民の方の出入りにも影響が出るため、その地区の自治会長(町内会長)の同意書が必要です。
同意書をもらうには、自治会長の連絡先を調べて事情を説明する必要があり、日数がかかります。
通行止めの可能性がある現場では、早めに準備を始めてください。

同意書に書いてもらう項目や、自治会長の連絡先の調べ方は、下記の記事で詳しく解説しています。

詳細はこちらから

⑤歩道だけを使う場合は、描き方が変わります

ポイント:片側交互通行ではなく、歩行者の通り道の確保が中心になります

車道には出ずに、歩道や駅前広場の一部をコーンで囲って使うだけの作業もあります。
この場合は片側交互通行の描き方とは違い、規制する範囲をコーンで囲み、その外側に残る歩行者の通り道の幅を寸法で示すのが中心になります。

どの形で申請するかによって、申請書の「方法又は形態」の書き方も変わります。
申請書の書き方と、図に描く交通誘導員の人数の目安は、下記の記事で詳しく解説しています。

5.まとめ

以上、道路使用許可で添付する交通規制図の書き方について解説いたしました。
交通規制図は、道路交通法施行規則第10条第3項が求める添付書類(付近の見取図など)にあたり、福岡県警察の記載例では、道路の幅員、歩行者通行路の幅員、安全対策が確認できる図面とされています。

片側交互通行の場合、残す車道は3メートル以上、歩行者の通り道は0.9メートル以上が、国の建設工事の要綱(建設工事公衆災害防止対策要綱)の標準です。
図面は「道路の状況」「規制する範囲」「安全対策」の3つを意識して描き、申請書と数字をそろえておくことが、窓口で差し戻されないための近道です。
全面通行止めにする場合は、迂回路の図面と自治会長(町内会長)の同意書も必要になるので、早めに準備を始めてください。

ご自身で申請するということになると

・事前調査の時間
・警察署・関係庁舎に行く時間
・書類の作成・図面の作成

など、非常に面倒な対応もしなくてはなりません。

特に、

道路使用許可の場合だと、警察署へ申請に1回、許可証取得に1回の最低2度。

道路占用許可の場合には、複数の関係庁舎との協議などが必要で、これらは直接足を運ぶ必要があり、自宅や事務所から遠い場所での申請だと時間もお金もかかってしまいます。

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