道路使用許可が複数の警察署にまたがるときは?申請先の決め方を解説

専門行政書士が解説

道路使用許可が複数の警察署にまたがるときは?申請先の決め方を解説

現場が2つの警察署にまたがるときの申請先が分かります

「配管の入れ替え工事で、施工区間が隣の市まで続いている」
「電線の張り替えで、現場が2つの警察署の管轄にまたがってしまった」
「イベントのパレードで、通るコースが途中から別の警察署の管轄になる」

道路使用許可は、その道路を管轄する警察署に申請します。
それでは、現場が2つ以上の警察署にまたがってしまう場合、両方の警察署に申請しないといけないのでしょうか。

結論からお伝えすると、同じ都道府県内であれば、またいでいる警察署のうち、いずれか1つに申請すれば足ります。
これは実務上の慣例ではなく、道路交通法の条文そのものに書かれているルールです。

今回は、その根拠を条文で確認したうえで、どちらの警察署に出せばよいのか、県をまたぐ場合はどうなるのか、そして道路占用許可では考え方がまったく違うという点まで整理していきます。

1.同じ都道府県内なら、いずれか1つの警察署で足ります

①条文のかっこ書きに答えが書かれています

ポイント:「そのいずれかの所轄警察署長の許可」と明記されています

道路使用許可の根拠は、道路交通法第77条第1項です。
この条文は「行為に係る場所を管轄する警察署長の許可を受けなければならない」と定めていますが、そのすぐ後ろのかっこ書きに、またがる場合の扱いが書かれています。

(道路の使用の許可)第七十七条
次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない。
 一 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人
(二号から四号まで略)

道路交通法(e-GOV法令検索より引用)

かっこ書きの部分だけを取り出すと、「2つ以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの警察署長の許可でよい」と書かれています。
両方の警察署に出す必要はない、ということです。

警察庁のホームページでも、同じ内容が案内されています。

※出典:道路使用許可の概要、申請手続等(警察庁)

②「同一の公安委員会」とは、同じ都道府県のことです

ポイント:福岡県内なら、いくつの署にまたがっても申請は1件です

条文にある「同一の公安委員会」という言葉が分かりにくいのですが、警察署を管理しているのは都道府県ごとに置かれた公安委員会です。
福岡県内の警察署であれば、どこであっても福岡県公安委員会の管理に属しています。

つまり、現場が福岡県内で収まっているのであれば、いくつの警察署をまたいでいても、申請は1件で足ります。
具体的には、次のようなケースがこれにあたります。

1件の申請で足りるケース(いずれも福岡県内)
  • 福岡市博多区から東区にまたがる工事:博多警察署と東警察署のいずれか(博多区でも港湾部・空港内は別の署の管轄です)
  • 久留米市から小郡市にまたがる工事:久留米警察署と小郡警察署のいずれか(久留米市田主丸町を除く)
  • 宗像市から福津市を通り、古賀市まで続く工事:宗像警察署と粕屋警察署のいずれか

ここで注意していただきたいのが、数え方です。警察署の管轄は市町村の区切りと一致するとは限りません。
3つ目の例でいえば、宗像警察署は宗像市と福津市を、粕屋警察署は糟屋郡と古賀市を管轄しています。

逆に、1つの市が2つの警察署に分かれていることもあります。福岡県では、久留米市のうち田主丸町だけがうきは警察署の管轄です。
市の数で数えるのではなく、警察署の管轄で考えるようにしてください。

※出典:うきは警察署の紹介(福岡県警察)

③申請が1件なので、手数料も許可証も1つです

ポイント:福岡県の手数料は1申請につき2,400円です

申請が1件で済むということは、費用の面でも影響があります。
福岡県の道路使用許可の手数料は1申請につき2,400円で、県の領収証紙で納めます。
2つの署にまたがっているからといって、2件分の4,800円がかかるわけではありません。

交付される許可証も1通です。
ただし現場は区間全体に広がっていますので、許可証はコピーを取り、作業する班ごとに携行させておくのが安全です。
警察官から提示を求められるのは、必ずしも申請者が立っている場所とは限りません。

なお、1件で足りるのは同じ作業についての話です。作業の内容が変われば、署をまたぐかどうかとは関係なく、作業ごとに申請が必要になります。
同じ現場の一連の工事であっても、生コン作業と足場の設置は別々に申請することになります。

手数料や、行政書士に依頼した場合の相場については、下記の記事でまとめています。

2.どちらの警察署に出すかの決め方と注意点

①事前相談をしてから決めるのが確実です

ポイント:主たる作業場所を管轄する警察署に出すのが基本です

条文は「いずれかの所轄警察署長」としか書いていないため、法律上はどちらに出しても構いません。
とはいえ、実務では出す先の見当をつけてから動くことになります。
目安になるのは、規制の中心になる場所や、作業量がもっとも多い場所です。

また、駅伝やパレードのように道路を移動していく行為については、出発地を管轄する警察署に申請してくださいと案内している警察もあります。
都道府県によって案内の仕方が違いますので、迷ったら事前に相談してしまうのが早いです。

もう一つ気をつけたいのが、審査にかかる時間です。
署をまたぐ案件では、許可を出す警察署が隣の警察署と内容を調整することになります。
そのぶん、1つの署の中で完結する申請よりも時間がかかることがありますので、日程には余裕をみておきましょう。

詳細はこちらから

②県をまたぐ場合は、それぞれの県に申請が必要です

ポイント:県をまたぐと1件にはまとめられません

1つの警察署で足りるのは、あくまで同じ都道府県の中で収まっている場合です。
現場が県境をまたぐ場合には、それぞれの県の警察署に申請しなければなりません。
当事務所の対応エリアでいえば、福岡県久留米市と佐賀県鳥栖市にまたがるような現場が、これにあたります。

この場合は申請が2件になりますので、手数料も2件分が必要です。
さらに、申請書の様式や添付書類の作り方、受付の運用は都道府県ごとに違います。
片方の県で通った図面が、もう片方では書き直しになることもあります。

なお、同じ県内であっても高速道路や都市高速道路での作業は窓口が別で、福岡県の場合は高速道路交通警察隊が申請先になります。

※出典:道路使用許可申請手続き(福岡県警察)

③申請書と図面には、区間の全体を書きます

ポイント:書き落とした区間は無許可になってしまいます

申請が1件で済むのは、あくまで区間の全体を1件として申請した場合です。
申請書の「場所」の欄には、片方の署の管轄分だけを書くのではなく、起点から終点までを「〇〇市〇〇一丁目〇番地先から△△市△△二丁目〇番地先まで」のように記載します。

図面も同じで、区間の全体が分かるものを添えます。
そのうえで、どこをどのように規制するのか、誘導員をどこに立てるのかまで書き込んでおくと、審査の途中で差し戻しになりにくくなります。

署をまたぐ現場で確認しておきたいこと
  • 区間の起点と終点:どの警察署の管轄からどこまでか
  • 県境をまたいでいないか:またいでいれば申請は2件
  • どの署に出すか:主たる作業場所、移動する行為なら出発地
  • 道路の種類:国道・県道・市道のどれが含まれるか(占用許可の申請先が変わります)
  • 日程の余裕:署どうしの調整が入るぶん、通常より時間がかかることがあります

申請書そのものの書き方は、下記の記事で記入例を載せながら解説しています。

詳細はこちらから

3.道路占用許可には「1つにまとめる」ルールがありません

①占用許可の申請先は、道路管理者ごとに分かれます

ポイント:国道・県道・市道が混ざると、その数だけ申請先が増えます

足場や電柱、袖看板のように、道路に物を設けて継続して道路を使う場合には、道路占用許可が必要です。
こちらの根拠は道路交通法ではなく道路法で、申請先も警察署ではありません。

(道路の占用の許可)第三十二条
道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。
 一 電柱、電線、変圧塔、郵便差出箱、公衆電話所、広告塔その他これらに類する工作物
(二号から七号まで略)

道路法(e-GOV法令検索より引用)

ここで注意していただきたいのは、道路法には、道路交通法のような「いずれか1つでよい」というかっこ書きがないという点です。
占用許可は、その道路を管理している道路管理者に対して申請しますので、1つの現場でも、国道・県道・市道が混ざっていれば、その管理者ごとに申請することになります。

道路使用許可は1件にまとめられるのに、道路占用許可は分かれる。
署をまたぐ長い区間の現場では、この違いが手続きの数にそのまま効いてきます。

②使用許可と占用許可は、一方の窓口にまとめて出せます

ポイント:警察署か道路管理者、どちらかの窓口に一括で提出できます

申請先が増えると、窓口を回るだけで何日もかかってしまいます。
そこで道路法には、占用許可の申請書を警察署長を経由して提出できるという規定が置かれています。

第三十二条第四項
第一項又は前項の規定による許可に係る行為が道路交通法第七十七条第一項の規定の適用を受けるものである場合においては、第二項の規定による申請書の提出は、当該地域を管轄する警察署長を経由して行なうことができる。この場合において、当該警察署長は、すみやかに当該申請書を道路管理者に送付しなければならない。

道路法(e-GOV法令検索より引用)

道路交通法の側にも同じ趣旨の規定があり、占用許可もあわせて必要な場合に限り、道路使用許可の申請書を道路管理者を経由して出すこともできます。
福岡県警察も、両方の許可が必要な場合は各申請書を警察署長または道路管理者の一方の窓口に一括して提出できると案内しています。

ただし、まとめられるのは提出の窓口であって、許可そのものが1つになるわけではありません。
許可はそれぞれの機関から出ますし、占用料も道路管理者ごとに必要になることがあります。

経由による提出を含めて、道路占用許可の申請の流れそのものは下記の記事で解説しています。

詳細はこちらから

③まずは管轄と道路の種類を調べるところから

ポイント:管轄の警察署は市町村の区切りと一致しないことがあります

ここまでの話は、いずれも現場がどの警察署の管轄で、道路の種類が何かが分かっていることが前提です。
ところが警察署の管轄は市町村の区切りと一致しないことがあり、道路の種類も、見た目の広さでは判断できません。

それぞれの調べ方は、下記の記事で地域ごとにまとめています。

詳細はこちらから

4.まとめ

以上、道路使用許可が複数の警察署にまたがるときの申請先について解説いたしました。
同じ都道府県内であれば、道路交通法第77条第1項のかっこ書きにより、またいでいる警察署のいずれか1つに申請すれば足ります。

一方で、県境をまたぐ場合はそれぞれの県に申請が必要になり、道路占用許可にいたっては、道路管理者ごとに申請先が分かれます。
「使用は1件にまとめられる、占用は分かれる」と覚えておくと整理しやすいはずです。

ご自身で申請するということになると

・事前調査の時間
・警察署・関係庁舎に行く時間
・書類の作成・図面の作成

など、非常に面倒な対応もしなくてはなりません。

また、付随する道路使用許可の申請は

道路使用許可の場合だと、警察署や申請に1回、許可証取得に1回の最低2度。

道路占用許可の場合には、複数の関係庁舎との協議などが必要で、これらは直接足を運ぶ必要があり、自宅や事務所から遠い場所での申請だと時間もお金もかかってしまいます。

これら面倒な道路使用許可・道路占用許可の申請を、

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