クレーン作業に道路使用許可は必要?足場との違い・申請の注意点を解説

クレーン作業に道路使用許可は必要?足場との違い・申請の注意点を解説
クレーン作業に必要な許可と、足場との違いが分かります
「道路にクレーン車を停めて資材を吊り上げたいが、許可はいるのだろうか」
「足場のときは道路占用許可が必要だと言われたが、クレーンも同じなのか」
結論から言うと、道路を使って作業する以上、クレーン作業にも道路使用許可が必要です。ただし足場と違って、道路占用許可までは原則として必要ありません。
この違いは感覚的な話ではなく、条文にはっきりと書き分けられています。今回は根拠となる条文を示しながら整理していきます。
1.クレーン車を道路に停めて作業するには道路使用許可が必要

①道路上の「作業」は道路使用許可の対象
ポイント:クレーン作業は「道路において作業をしようとする者」にあたる
道路使用許可が必要になる行為は、道路交通法の条文で4つに分けて列挙されています。クレーン車を道路に据えて行う吊り作業は、このうちの1号にあたります。
(道路の使用の許可)第七十七条
道路交通法(e-GOV法令検索より引用)
次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない。
一 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人
(二号以下略)
クレーン車のアウトリガーを道路に張り出す、車体が車線をふさぐ、吊り荷が道路の上を通る——こうした状況はいずれも「道路において作業をする」ことにあたるため、所轄の警察署長の許可が必要です。
逆に、クレーン車も吊り荷もすべて敷地内に収まり、道路にはみ出さないのであれば道路使用許可は不要です。ただし現場では「少しだけアウトリガーが歩道にかかる」というケースが非常に多く、この場合は許可が必要になります。
②申請するのは元請?それともクレーン業者?
ポイント:作業をする人でも、その請負人でも申請できる
先ほどの条文をもう一度見ると、1号は「道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人」となっています。
つまり実際に作業をする業者でも、その工事を請け負った元請業者でも、申請者になることができます。
条文上どちらでもよいということは、裏を返せば「誰が出すのか」を決めておかないと申請漏れが起きやすいということでもあります。「元請が出してくれていると思っていた」「クレーン屋さんが出すものだと思っていた」というすれ違いは、実際の現場でよく起きています。作業日が決まった時点で、誰が申請するのかを必ず確認しておきましょう。
③許可を取らずに作業した場合の罰則
ポイント:3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金
無許可で道路を使用して作業をした場合、道路交通法119条2項7号により3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金が定められています。
また、許可は取ったものの許可に付けられた条件(誘導員の配置や作業時間帯など)に違反した場合も、同じ罰則の対象になります。
「許可さえ取れば終わり」ではなく、許可証に書かれた条件を現場で守るところまでが求められます。
2.足場と違って道路占用許可は原則いらない

①道路占用許可は「継続して道路を使用する」ときの許可

ポイント:分かれ目は「継続して道路を使用するか」
道路占用許可は道路法に定められた許可で、道路使用許可とは根拠になる法律も、申請先も違います。条文はこうなっています。
(道路の占用の許可)第三十二条
道路法(e-GOV法令検索より引用)
道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。
一 電柱、電線、変圧塔、郵便差出箱、公衆電話所、広告塔その他これらに類する工作物
二 水管、下水道管、ガス管その他これらに類する物件
三 鉄道、軌道、自動運行補助施設その他これらに類する施設
四 歩廊、雪よけその他これらに類する施設
五 地下街、地下室、通路、浄化槽その他これらに類する施設
六 露店、商品置場その他これらに類する施設
七 前各号に掲げるもののほか、道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの
(二項以下略)
ここで押さえておきたいのが、条文にある「工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合」という書き方です。占用許可は「置きっぱなしにする」ことに対する許可だということが分かります。
②クレーン車は作業が終われば撤去するので占用にはあたらない
ポイント:足場は置き続けるから占用、クレーンは撤去するから使用
足場は、工期の間ずっと組んだままにします。道路側にはみ出していれば、その部分は工事が終わるまで道路を占め続けることになるため、「継続して道路を使用」にあたり、道路占用許可が必要になります。
一方でクレーン車は、その日の作業が終われば撤収します。道路に何かを設けて置き続けるわけではないので、原則として道路占用許可は必要なく、道路使用許可だけで足ります。
許可の使い分け
- クレーン車での吊り作業:
- 道路使用許可(申請先は所轄の警察署)
- 足場の設置
- 道路使用許可に加えて道路占用許可(申請先は道路管理者)
③クレーン作業でも占用許可が必要になるケース
ポイント:置きっぱなしにするものがあるかで判断する
クレーン作業そのものは占用にあたらなくても、現場全体で見ると占用許可が必要になることがあります。判断のしかたは同じで、道路に置いたままにするものがあるかどうかです。
占用許可も検討が必要な例
- 吊り上げた資材を道路上に何日も仮置きする
- 仮囲いや防護柵を工期中ずっと道路側に設置する
- クレーンの敷き鉄板を作業日以外も敷いたままにする など
なお、道路占用許可と道路使用許可の両方が必要になる場合について、道路法にはこう書かれています。
第三十二条
道路法(e-GOV法令検索より引用)
4 第一項又は前項の規定による許可に係る行為が道路交通法第七十七条第一項の規定の適用を受けるものである場合においては、第二項の規定による申請書の提出は、当該地域を管轄する警察署長を経由して行なうことができる。この場合において、当該警察署長は、すみやかに当該申請書を道路管理者に送付しなければならない。
5 道路管理者は、第一項又は第三項の規定による許可を与えようとする場合において、当該許可に係る行為が道路交通法第七十七条第一項の規定の適用を受けるものであるときは、あらかじめ当該地域を管轄する警察署長に協議しなければならない。
つまり両方が必要なときは、占用許可の申請書を警察署経由で出すこともできる仕組みになっています。
とはいえ実務上は、事前相談を含めると道路管理者と警察署の両方に足を運ぶことになるのが通常で、ここが最も時間のかかる部分です。
足場側の手続きについては、下記の記事で詳しく解説しています。

3.申請前に確認しておきたいこと

①申請先と申請の時期
ポイント:作業場所を管轄する警察署に、余裕をもって申請する
道路使用許可の申請先は、条文のとおり作業をする場所を管轄する警察署です。会社の所在地を管轄する警察署ではないので注意してください。
また、申請してすぐに許可証が出るわけではありません。申請に1回、許可証の受け取りに1回と、最低でも2回は警察署に足を運ぶことになります。
作業日が決まったらできるだけ早く動き出しましょう。
具体的に何日前までに申請すればよいかは、下記の記事で解説しています。

②図面の準備
ポイント:アウトリガーの張り出し幅まで書き込む
クレーン作業の道路使用許可では、車体の大きさだけでなくアウトリガーを最大まで張り出した状態で道路のどこまでを占めるのかを図面で示すよう求められることが多くあります。
図面に書いておきたいこと
- 道路の幅員と、作業で使う部分の幅
- クレーン車の停車位置とアウトリガーの張り出し範囲
- カラーコーンやバリケードの配置
- 交通誘導員の立ち位置と、車両・歩行者の通し方
求められる図面の細かさは警察署によって違いがあるため、大がかりな作業になりそうな場合は、事前に相談しておくと二度手間を防げます。
③交通誘導員と通行止めの扱い
ポイント:誘導員の配置は許可の条件として付けられることが多い
クレーン作業は車線をふさぐことが多いため、交通誘導員の配置が許可の条件として付けられることがよくあります。前述のとおり、この条件に違反すると罰則の対象になります。
片側交互通行で通せるのか、それとも全面通行止めにせざるを得ないのかは、道路の幅と作業の規模で変わります。全面通行止めにする場合は、警察署だけでなく道路管理者とも調整が必要になり、準備期間も長くなります。
誘導員の考え方については、解体工事を例にした下記の記事も参考になります。

4.まとめ
今回はクレーン作業に道路使用許可は必要か、足場との違いについて解説しました。
ご自身で申請するということになると
・事前調査の時間
・警察署・関係庁舎に行く時間
・書類の作成・図面の作成
など、非常に面倒な対応もしなくてはなりません。
また、付随する道路使用許可の申請は
道路使用許可の場合だと、警察署や申請に1回、許可証取得に1回の最低2度。
道路占用許可の場合には、複数の関係庁舎との協議などが必要で、これらは直接足を運ぶ必要があり、自宅や事務所から遠い場所での申請だと時間もお金もかかってしまいます。
これら面倒な道路使用許可・道路占用許可の申請を、

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